進撃の巨人The Final Season第60話 c267
鎧の巨人が登場後の決めカットです。カメラ合わせでプロポーションを調整し、かっこよさ重視で作成しました。このカット限定で素材を追加するなどして、よりリッチな仕上がりになるようしました。
卒業生インタビュー
小野 英希さん/3DCGアニメーター
株式会社V-sign
小学1年生くらいのころ、ゲームキューブのソフト「ピクミン」(Nintendo)をクリスマスにプレゼントされ、その世界観にハマりました。それからは学校が終わったらすぐに家に帰ってゲームをする子どもになりましたね。
中学、高校と成長するにつれ、ゲームをつくる仕事にも興味が湧いてきました。ゲームのトレーラー(紹介動画)や、ゲームに挿入されているムービーの制作をしてみたいと思っていたんですよ。
やりたいことは明確でしたが、高校では普通科に通っていたこともあり、デザインをしたこともなければ、パソコンの操作もおぼつかない状態でした。それでも、表現する仕事がしたいと思い、芸術系の大学への進学を考えたんです。
芸術系の大学にはデッサンなどの実技試験があることを知ったとき、デッサンの経験がまったくなかった僕は道を閉ざされた感覚でした。でもよく調べてみると東京工芸大学の入試にはデッサンがありません。デザインだけではなく、サウンドやプログラミングなど幅広く学べるインタラクティブメディア学科(IM学科)にも惹かれて進学を決めました
IM学科は学習環境が整っていると思います。教授陣はバラエティに富んでいて、実業で活躍していた人やアーティストもいます。ハードやソフトも時代にあったものが取り揃えられていました。ただし、どれだけ環境が恵まれていても、それを本人がどう使うかが大事です。僕の場合は、ひたすら3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)を勉強していましたね。
Adobeのソフトを自由に使えることも大きかったです。学生時代にAfter Effectsというモーショングラフィックソフトでさまざまなエフェクトをつくるためにソフトを使い込んだことが今も役立っています。当時は、チュートリアル(基本操作を学ぶ機能)も英語だったので、意味を調べながら習得しました。そのほか教職免許を取得するための授業もとっていたので、かなり忙しい大学生活でしたね。ちなみに、東京工芸大学は奨学金の種類が豊富です。入学後に一定の成績を収めると給付型の奨学金をもらえる制度を利用し、自宅の学習環境を整えることができました。
卒業後に映像制作会社のV-signに入社したきっかけは、教授からの紹介です。V-signは東京工芸大学の卒業生がつくった会社で、アニメーションや3DCG、イベント用の映像などをつくっています。3DCGをやりたい自分にピッタリでした。しかも、ちょうどその当時読んでいた漫画「いぬやしき」のアニメーションに携われることを知りワクワクしましたね。入社1年目からやりがいのある仕事に取り組むことができて嬉しかった反面、一切の妥協が許されない厳しい世界であることを知りました。それでも、大学時代に3DCGとエフェクトの基本を学んでいたから、なんとか対応できたんです。
アニメの世界は、作品が完成するまでに、どれだけ苦労をしたとか、どれだけ時間をかけたかとか、そういうことは関係ありません。問われるのはプロセスではなく結果。世の中に出せるクオリティでなければダメなんです。産みの苦しみは大きいですが、完成したときに達成感を味わえます。「進撃の巨人The Final Season」や「ハイキュー!! TO THE TOP」などの人気アニメに携わり、多くの人に見てもらえることもこの仕事の喜びですね。エンドロールに自分の名前が出たときは誇らしいです。多くの人の目に触れる渋谷駅の大型サイネージ広告にも、僕が担当した映像が使われたことがあるんですよ。
忙しい毎日ではあるけれど、とても充実しています。こうしてあらためて過去を振り返ってみると、IM学科で主体的に学んだ経験が、今に生きていますね。
鎧の巨人が登場後の決めカットです。カメラ合わせでプロポーションを調整し、かっこよさ重視で作成しました。このカット限定で素材を追加するなどして、よりリッチな仕上がりになるようしました。